未分類

 かつてはその薄暗い世界に
 何年も何十年も
 平穏な日々の続くゲコーの村があった
 
 寡黙なゲコーたちは
 薄くそしてはるかな時空を隔てて
 明るい世界に暮らす
 穏やかなニンゲンたちを見下ろしていた
 
 ゲコーたちは
 設けられた境界を越えず
 薄暗い世界に
 永く永く永遠と思える時を
 ニンゲンたちを見守りながら
 平和に過ごしてきたのだ
  
 ある時明るい世界に別の住人がやってきた
 
 開拓の意志に燃える男とその子は
 神聖な境界を物ともせず
 自動機械と耳をつんざく雷鳴を駆使して
 薄暗い世界に光をとどかせた
 
 眩い光と共に
 丸く輝く二つの眼と鋭い爪を持った無慈悲の獣が
 ゲコーたちの村を蹂躙したのだった

 男とその子は
 自分たちの犯した罪を知らなかった
 その薄暗い世界に
 どれほどの安らぎと平穏が満ち満ちていたかを知らなかった
 
   
 今では白い抜け殻の遺跡となったその平和な村で
 ゲコーは生きてきたのだ
 永遠と思える長い時間を
 静かに満ち足りて
 
せかいの守神として

未分類

 
 
 右手で右手を掴むことは
 できない
 
 まなこをそのまなこで見つめることも
 かなわない
 
 空海は言ったそうな
「近くして見がたきは我が心なり」と
 
 曰く、自分という存在は
 決して対象化することはできない
 
 じゃ、どうするの
 
 まずは
 途方に暮れよう
 
     
 

未分類

 
 
 きっと天国に帰った時は
 ほんとに自分の家にいる様に寛ぐだろう
 
 そこにはよそよそしさのかけらもなく
 ほんの少しの疑いも湧いては来ないだろう
 
 なぜこの世が地獄なのか
 それはありとあらゆる瞬間に
 他人の様な眼差しが忍び込むからだ
 
 自分自身でいることに
 どうしてこれほどのエクスキューズが必要なのか
 頭の中には言い訳ばかりが詰まっている
 
 
 きっと天国に帰った時は
 飲めない酒をしこたま飲んで
 
 絡む様にピアノマンに
 あの歌をせがむだろう
 
 そう、まるで我が家にいる様に
 懐かしさと本当の脱力を味わいながら
 
 カウンターに頭を横たえて
 よだれを垂らしてニタニタと笑うんだ
 

未分類

 しっかりと見れば見るほど
 ぼやけていくものは何
 
 しっかりと見れば見るほど
 ぼやけていくもの 
 それはあなたと私を分ける境界
 
 しっかりと見れば見るほど
 その境界はぼやけていって
 あなたと私は溶けあい混ざりあう
 
 しっかりと見れば見るほど
 私もあなたも
 来ては去り来ては去る
 流れが形となる一瞬
  
 しっかりと見れば見るほど
 ひとりぼっちの私は消えて
 あなたと一つの渦になる
 
   

未分類

 心って繰り返すんだね基本僕は三日で一周彼は一分で一周
 
 
 繰り言って愚痴って意味だと感じてたけど繰り返す言葉ってことなんだね
 
  
 受け入れて一緒に感じる時もあれば壁になってはね返す時もある判断むずかし
 
   
 揉まれて混乱することから逃げたいのが本音でもそれじゃあ隠者になるほかない



 ひょっとして僕はとっくに死んでいて永いエンドロールを眺めているのかもしれない

未分類

 弁当を買いに行かせてiPhone頼りに道をガイドする息子の遠隔操作ゲームより難かし
 

 ワサワサの正体は煮詰まった親子の感情でした息子の不在でなんと心が静かでしょう
 

 母の日に感謝の言葉溢れるfacebook 母代わりの親父のカテゴリーはない
 


 自粛でもレパートリーを増やす気はないカレー・チャーハン・野菜炒めのループ完成

未分類

 マッチポンプ
 
 それは悪い意味で使われる自作自演のこと
 
 自分で原因を作っておいて
 自分で解決を図る 

 そのことで利益を得るという感じ
 
 でも
 
 これからはポジティブな意味で使いたいな
 
 まず自分で原因を作るってのがいい
 
 どっか外の世界からやってくる

 禍々しいイブルなことじゃなくて
 
 少なくとも
 それは自分が作るってのがいい
 
 そして
 それから動く
 
 それはつまり
 世界を創るってことだよ
 
 自分が池に投げた小石になって
 自分から波紋が広がるんだ

未分類

 彼は私
 この危機の命題は何か
 それは間違った価値観、世界観だ
 我々はゼロサムの世界に生きて、
 私が取るか、それとも彼が取るかだ、と思い込んでいる
 
 その結果がこれだ
 欺瞞と策略と恐怖そして絶望
 
 その価値観は完全に間違った認識だった
 それは完全な事実誤認だ
 
 真実は
 彼が得れば私も得る、だったのだ
 なぜなら本当のところ
 彼と私は違わないから
 利他こそ利己なのだ
 
 彼から孤立した私という認識を改めよ
 彼は私という事実に立て
 

 

未分類

 
 あなたはどう燃やしますか
 いのちのたき木を
 
 僕はありったけくべて
 ワラワラと燃やします
 
 立ち上がる炎が
 天まで届くくらいに
 
 残りが少ないからって
 ケチっていたら 
 気持ちよく燃えないよ
 
 どんどんくべて
 ワラワラ燃やせ
 
 きれいでしょ
 うつくしいね
 
 僕の耳元で
 黒犬はそうささやきました