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四月には亡くしたものが一つある花は咲くより散るときが好き
 
きらめいて舞い落ちる中ただひとり踏みしめてゆく葬送の花
 
散るころの葉桜の色やわらかく匂やかに想う桜餅ふたつ

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跡形を一つ残らず拭き取って消えてゆきたし有明の月

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恋焦がる思いのうちの半ばまで届かぬ母の胸の記憶か
 
胸騒ぐ頭ではなく胸騒ぐオフコントロールの胸ぞ騒が

 
胸騒ぐ非モテの牡の悲哀とてそを眺めやる悲哀ぞ勝る
 

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押し入れに端折れた印度のポストカード落つ送りし女は疾うにみまかる
 
たまさかに得し幸せは言の葉に表しがたし膝の上の猫

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糸蜻蛉たまさかに留まる川沙を我と違えしこの世なりけり
 
この世の謎を解こうなんて無駄な努力さ実は神様は女だったんだ

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よっぽどの事情があったのだと思う出不精の僕がこの世に来たのは

誰かに会うためだったのだろうかもう会ったのかまだ会ってないのか


会ったとしたらしゃあないやっちゃおうてないならちょっとワクワク

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立ちつくし無音の風に驚きて虚数の林薄墨の空

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娑婆という牢獄にあり無定期の死刑囚のごと生くる我は

かえりみて優柔にして不断の我三歩進まず二歩は下がるか

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凍てつきし西の時空に白銀の玉沈みゆき宝島の朝
 
郵便屋届けし商品券手にして満悦の息子おり宝島の朝

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やっとわかった君の見る青と僕の見る青が同じのわけ
 
みんな馬鹿げたことなんだ鶯は自分の声を遺さない