今日の詩

焦ることと待つことについて
 
 長い間
 時間を持たない人と暮らしてわかったけれど
 彼は決して焦らない
  
 それは全く当然で
 焦るというのは時間に追われるということで
 時間を持たない人が
 時間に追われることはないのだ
 
 時間を持たない人は
 決して焦らなかったけれど
 待つのはとても苦手だった
 
 そもそも彼には
 待つということが理解できなかった
 
 それも全く当然で
 時間を持たない人には
 待たなくてはならない「まだ来ぬ時間」もなかったのだ
 
 ところが時間の檻の中で生きている人の話す言葉の半分は
 まだ来ぬ時間でできていて
 心も半分
 まだ来ぬ時間で埋まっていたから
 
 時間を持たない人は
 全くワケがわからないまま
「まだ来ぬ時間」を待つことになった
 
 時間を持たない人は
 とても饒舌で
 巧みに言葉を話したけれど
 いつも「言葉の半分」は
 わけが分からないままなのです
 

Posted by hasunoza