今日の詩

2021年2月16日

 世界中のどこを探したって

 世界中のどこを探したって
 こんな鳴き声でいいのか、と声を詰まらせる鶯はいない
 こんな走り方はおかしくないか、と立ち止まってしまう馬はいない
 こんな飛び方では笑い者になるしかない、と翼を畳む鴉もいない
 
 ただ人間だけが、

 そうして声を押し殺し、正しく走ろうとし、
 笑われるのだけはごめんだ、と世間の目を怖れるのだとしたら
 
 人の未来は暗澹たるものだ
 

Posted by hasunoza