今日の短歌

寒天の頂に北斗見上げつつゴミ当番の暮れ朝まだき
 

この辺のゴミ回収は燃えるゴミが週2回。週ごとに当番が回ってくる。十二軒で一つの班になっているので、十二週に一回ゴミ当番をすることになる。
 引っ越して7年になる今年、初めて一年の最後の当番になった。月曜と木曜が回収日なのだが、年末年始の休日の関係で今年の最後の収集日は今日、二十九日の日曜になった。まさか日曜がゴミの日になっているとは前日まで気づかず、近所のおばちゃんに教えてもらわなかったら、一年の最後に近所迷惑で恥ずかしいことになっていただろう。
 スマホを朝の5時半にセットして寝た。この住宅地は周り中年寄りだらけでみんな朝が早いのだ。その先を越してゴミのネットを広げておかなくてはならない。
 なぜだか不思議にこんなときは、アラームが鳴る二、三分前に目がさめる。これは若い頃からのことで、僕の無意識の底にはきっと体内時計があるに違いない。偶に寝過ごすわけにいかない大事なことがあって目覚ましをセットするときには、一緒にその時計もセットするのだ。
 5時半はまだ暗い。とても朝とは思えない。昔、東京で新聞配達をしながら劇団の研修所に通っていた頃を思い出す。そのときは朝刊の配達準備をするのに夜中の3時には配達店に行ったものだ。一人暮らしの寂しい朝、暗いだけで気持ちが萎えた。
 今朝もそんな気分になったので、隣の部屋で眠りこけている息子を揺り起こして一緒に行くことにした。
 二人ともたくさん着込んで外に出る。同じ布団で寝ていた3匹の猫たちも玄関まで出てきて見送っている。
 無理やり起こされてブツブツと文句を言っていた息子は、車のフロントガラスが凍っていると言ってなぜかはしゃいでいる。起こして正解、この暗がりでも寂しくないし、少し楽しい。
 二人で道の真ん中を歩いた。ゴミのネットを広げて帰り道、悴む手をこすりながら思わず空を見上げると北斗七星が真上にあった。

Posted by hasunoza