目の前の結果を求め為すことで見知りもしない桶屋儲かる
今日の短歌
自分さえ動かそうとする他動詞は雲をつかんで空振りをする
「治す」なんておおそれたことは起こらないただものごとは勝手に治る
日に二百回「どうしたらいい?」と聞かれたらほんとに僕はどうしたらいい?
今日の短歌
これでもかこれでもかというほどのきうりの神の大盤振る舞い
今日の短歌
蝉時雨うるさいと聞こえるその時は胸いっぱいの息を吐き出す
百日紅蒼き乙女の紅の色久米の如くにサルスベリ墜つ
今日の短歌
くちびるの寒さいやます森の土にうえて浄めんうたのことのは
今日の短歌
ファックスの感熱紙の文字薄すぎて遠きインドの想いは届かず
時たまに思い出すのは今もまだそのインド綿の曼荼羅の上
うつ伏せの僕の背中でぺたんこに君の乳房が密着していた
交わると見えて空間の直線はほとんど行き違う僕らの如く
アラフォーの息子と青い曼荼羅に挟まれて寝る息絶え絶えに
今日の短歌
感情を揺さぶる悪魔の甘言も届かぬイワンの人となりたし
今日の短歌
毎夜毎夜意識の果てに身投げする朝(あした)此岸に戻るあてなく