もしもひとつかなう望みがあるとしたら神よ息子に母与えかし
今日の短歌
鶯や誰に聞かすかその声音吾には届きぬ雨だれのなか
今日の短歌
役目終えし古き水屋を解体す良心を持つ首切り人の如く
刑場の露と消えるか水屋一竿血潮のような木片を掃く
今日の短歌
人生は無限ループに違いない同じ道だけど今日はどう歩く?
今日の短歌
二度とない瞬間が今ここにある片方だけの靴下は9足?
空き店の恵比寿となりぬ田面にて憎きカラスも今はともがら
今日の短歌
四月には亡くしたものが一つある花は咲くより散るときが好き
きらめいて舞い落ちる中ただひとり踏みしめてゆく葬送の花
散るころの葉桜の色やわらかく匂やかに想う桜餅ふたつ
今日の短歌
跡形を一つ残らず拭き取って消えてゆきたし有明の月