水風呂から陽気な声で出迎える子の震える体を敗北者の気分で拭く
今日の短歌
ようやっとほどいいリズムができてきた冬の朝の寒い台どこ
今日の短歌
これまで生きてて気づかなかった大根のきんぴらがこんなにうまいとは
今日の短歌
苦しみにそれだけの価値ありという言葉にすがるように息を吐く
今日の短歌
そばにいて心をいためつづけることが寄りそいきれない寄りそうおもい
今日の短歌
近頃は時間がうんとゆっくりになってときどき今にも止まりそうになる
そうするとまわりがみんな内側に光を帯びていると気がつく
今までの全ての時をうわすべりに生きてきたっていうことにも
その瞬間は言葉でとても言えないくらい落ち着いていて静かだよ
今日の短歌
洗い桶にヤカンの水をうすく溜めてしばらく浸けておく猫の器は
今日の短歌
ことごとく集まりしものはいつかの日のためのものと今朝気づきけり
今日の短歌
南天にかかるうの字の弦の月番茶すすりつながむサイレント
今日の短歌
砂城を築くようだね砂の星で跡形もなく消えてなくなる