今日の詩
「機能」
あるとき
目の奥の辺りで
かすかな明滅が始まる
それは本当に小さく弱く
ほとんどないような光だけれど
僕はその「機能」が
自分に備わっていることなど
とうに忘れていたのだけれど
その明滅が始まるとき
自分の存在や世界の理(ことわり)や
あらゆることの意味
意味それ自体
理由という理由
価値という価値
全てがうっすらと消えていく
この世界は
琥珀に閉じ込められた蜻蛉のように
全く動きを持たず
運命と名づけることさえ許されずに
1ミリの遊びもなしに凍っている
ゆっくりと
僕の目の奥の光の明滅が
琥珀を熔かし
やがて破れめが広がっていく
誰にも備わっているはずの
その「機能」が
僕の中でめざめる
それは希望ではなくて
定めなのだけれど