ホーカス・ポーカス
「ホーカス・ポーカス」
唱えてごらん
魔法の呪文
「ホーカス・ポーカス」
あらあら不思議
なんでも叶う
「ホーカス・ポーカス」
困った時は
腰振りながら
「ホーカス・ポーカス」
沈んだ心も
なんだかウキウキ
「ホーカス・ポーカス」
あの子に聞いても
この子に聞いても
「ホーカス・ポーカス」
なぜだか知らない
その秘密
「ホーカス・ポーカス」
リズムをつけて
歌うように
「ホーカス・ポーカス」
とにかく信じて
ただ唱える
「ホーカス・ポーカス」
色っぽくでも
厳しくても
「ホーカス・ポーカス」
効き目は保証つき
魔法使いの保証つき
「ホーカス・ポーカス」
ただ一つだけ
ご用心
「ホーカス・ポーカス」
自分のためには使えない
悪だくみには使えない
「ホーカス・ポーカス」
困った困った
困っちゃった
「ホーカス・ポーカス」
でもでも
よくよく考えて
「ホーカス・ポーカス」
これで解決
みんな幸せ
「ホーカス・ポーカス」
よく考えて
みんな幸せ
今日の詩
今日の詩
85パーセント
僕の愛用の掃除機は
充電式でコードがない
軽くて細くて
どこでも手軽に持っていける
ただ一つの欠点と言えば
若干吸引力が弱いことだ
その吸い込み率は
(推定)85パーセント
昔の僕なら
とてもじゃないけど
許せない弱さだ
けれど今はむしろ
それくらいが気に入っている
ホコリの8割がたが
きれいになれば
遠目の掃除は完成だ
世の中のすべてが
神経症みたくなって
やたらきれい好きになっているけれど
僕は至って
いい加減に暮らしている
今日の詩
無題
ネットを開くと
「教えて、〇〇先生」という番組だった
ちょっと興味を惹かれたので
小学生の質問に答える〇〇を見ていた
三つくらいの質問と〇〇の答えを聞いて
我慢できなくなって閉じた
こんな下世話な番組を企画する奴もくだらないし
それを受けて出演する〇〇も同じようにくだらない
誰かのためになると思っているなら
ゴカイもゴカイとんでもないゴカイだ
本当なら〇〇は
俺の話なんて誰のためにもならないヨと
走って逃げるべきだった
ボクなら全く違うことを企画する
誰が見たって、失敗ばかりで金もなければ地位もない
誰もがそうはなりたくないと思う
なのに誰が見たって
ごくごく幸せそうにしているやつを見つけだして
そいつに話を聞くんだ
間違いなく、そいつの話は
あらゆる人にとって
何よりも得難くためになる話に違いない
宝物のような話が聞けるに違いない
この世でいちばんためにならないのは
「成功した」と思っている人間の話だと
どうして誰も気づかないんだろう
今日の詩
そういう存在
朝、窓からさす眩い光に
目が覚めて
朝の空気を吸い込む
階下に降りて
冷たい水で顔を洗い口をゆすぐ
洗濯機を回しながら
ふと思う
この世に
あまねく在るもの
それは空気と水と
そして光だ
おそらく私は
それら空気と水と光が
いくぶんか濃くなった
そういう存在なのだ
今日の詩
愛についての考察
試みに力の反対語を「愛」だとしてみよう
愛は力とは反対の作用を持っている
力は対象に働きかけて
それを変えようとする
愛はそれとは反対に
何も変えようとはしない
愛はただ
物事があるように
それをそのまま受け入れる
愛は力の反対語だから
一切の力を持たない
何も働きかけず
何も変えない
けれども
人は愛を知ると変わる
力を拒むために
得ようとしていた力は
何一つ必要ではなくなるからだ
愛を知った人は
ただありのままに
弱いままでいるようになる
今日の詩
力(ちから)についての考察
力は色々なところで使われる
アビリティ(能力)も力だ
プレッシャー(圧力)も力だ
バイオレンス(暴力)も力だ
どれも力だ
どれにも共通しているのは
対象に影響を与えることだ
何かに働きかけ
それを変化させることだ
人は対象の世界に生きている
そして対象となるものに変化を与えようと
力を求める
対象の世界は力を及ぼし合う世界だ
力は硬さだ
力は緊張だ
力は鋭さだ
人は欲望ゆえに
力を指向する
対象となるものを支配し
コントロールすることには
本能的な快感があるのだ
しかし同時に
人は力を怖れる
なぜなら存在の根っこは
柔らかく「弱い」からだ
人はその弱さを庇おうと
硬くなる
緊張する
鋭くなる
力を拒むゆえに
力を指向する
力を否定するために
力を求める
人は弱さゆえに
力を求めるのだ
そうして力は
この世界の問題の根源となった