今日の詩
物書きについて
思うに、優れた物書きとは、日に何万語も湧き出す頭の中のモノローグを、紙の上に記録する難行苦行を達成した人のことを言うのだ。
その何万語も続くモノローグは、どこの誰にも当たり前に起こっていることで、大抵は大した意味のない、どうでもいい、けれどもその当人にとっては非常に意味のあるゆえに、ひとりでに湧いてくる独り言だ。
数万人に一人、あるいはもっとひどい苦行者になれば、何億人に一人、そのモノローグを記録する術を身につける。
我々が彼ら物書きの書物を読んで、深く心を動かされたり、時に涙を流したりするのは、彼らの心の声を読んで、自分にとってとても重要な自らの心の声を聞いたように感じるからだ。
言葉の海に浮かび上がり、白い波頭となって語られる物語は、その物語性ゆえに、再び新たな意味を得て、また深い海底に沈んでいく。