寄りかかる言葉なしに
寄りかかる言葉なしに思考の鋳型を投げ捨てて
今生まれようとしている声音だけ頼りにして
不安と安逸の宇(さかい)を手玉にとって
誰も師とせずふみわけられた道を選ばない
飛ぶでもなく潜ることなくただ裸の肘を立てて這い続け
予定調和を嗤って無重力に四肢を砕かれて
最大の摩擦係数を維持して
角を丸めることなく転がる玉にならず
読んだ刹那にその書を忘れ暗闇が太るままにして
帷を開け放つでもなく籠るでもなく
先人を嘲笑い後をゆく人を敬い
けして模範とならず枠を作っては壊し作っては壊し作っては壊し
たかを括り人を恋しく嘯いてはにかんで顔を引き攣らせても笑顔を作れず
強かであるような弱虫のままで
薄い皮膚を自慢し握った手は即座に境界を失ってどこまでも液状になって
自分を失う自分がそもそもないところにいたことを思い出し
ああでもなくこうでもないことを3分ごとにリバースする
傍にいる人が苦にすることをちっとも苦にせず
厚かましいくせに遠慮がちで
収斂しないことに固執して
結局
また新たにする思い
寄りかかる言葉なしに
今日の詩