一週間ぶりに
勢いよく自転車で
彼が出かけた
彼が行くと
それまで気づかなかった
いろいろな音が溢れてくる
セミの声 扇風機の羽の回転する音 猫の寝息
それは僕の心の
静かさの音
彼が行くと
それまで気づかなかった
その静かさが溢れる
僕は
ずいぶんとずいぶんと
タフになったものだ
彼がいるときの
まるでお祭りが三つほど
いっぺんにやって来たような
全ての音という音がかき消されて
彼だけで目一杯になって
それでも足らずに
溢れるままに
その混沌に浸り尽くすときと
そして今彼が行くと
全く音のメーターが
ゼロから反対方向に振れるくらい
黒い穴のような
静かさがやってくるのと
黒猫と目が合うと
彼もまた
そのコントラストをやり過ごし
からだじゅうの力を抜いて
そっと息をしている
今日の詩