名づけることの考察
ハイタカという魔法使いがいて
彼の住むアースシーの世界では
誠の名が力の源だった
ハイタカは呼び名であって誠の名ではない
誠の名は力の源であるという理由で
大切に隠されてあったのだ
しかし実のところ
呼び名であるハイタカが
力をもたないふつうの名前にすぎないのは
それが呼び名とされ隠されもしなかったからだ
誠の名もそのものに力があったわけではない
まこととよばれ隠されることによって
それは力を宿し力を増したのだ
言葉は人の心をあやつる魔法のつえ
名づけることの力は言葉に宿っている
そしてそうだから
言葉はおしみながら使わねばならない
かくされながら使われねばならない
そうして生まれた美しい言葉で
人の心は美しくなる
この世は美しくつくりあげられる
名づけることの考察