真実
真実ってやつを話してやろうか
まるで写真のネガポジのように
内側は外側で外側は内側なんだ
僕という内側が世界という外側を
ぐるっと囲んでのぞき込んでいる
本当は僕が外側で世界が内側なんだ
僕の目は世界という内側をのぞき込むノゾキメガネ
僕の手は箱庭のように世界を生み出す神の手
僕という虚空には何もないし
君という虚空にも何もない
僕らは本当はひとりなんだけど
名前も体も何もないひとり
ただこの世界で出会って
お互いを別々だと思ってる
右手で右手を握れないように
僕は僕を抱きしめられない
君も君を抱きしめられない
二人は虚空のひとりだから
この世界で出会って
やっと自分を抱きしめられる